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ウタカタノユメ

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くちづけ

おはようございます。

日曜の朝早くから更新です。トシのせいか、どうも最近早起きです。
そういえば、6月は剣薫バースデイですね。
かつては、某サイト様主催のお祭りに、参加させていただきました。あれから何年だ?

昨日会議中に突如左腕に鈍い痛みが…
多分、首痛から来てると思うんですが、もしかしたら五十肩かも…やだな~~~ほんとに最近トシを感じるよort


さて、更新。「くちづけ」です。縁との戦いの前日。初めて二人の心が通じ合った日。
原作では肩を抱く程度でしたが、やっぱそこはチューくらいしてくださいよ、ということで、初々しいチューを(笑)

では、ごゆるりと。






それでも私はあなたといたい。
ずっとこの先も、あなたといたい。

黄金色に染まる空を見ながら、歩いた土手道。
赤とんぼが空を舞い、風がそよそよとそよぎ、でも、その場所だけはまるで時間が止まってしまったようで、少し怖かった。
あなたの。
言葉が。

言わなけりゃ良かった。
きっとあなたは困っている。

ついこの間、あなたの過去を知ったばかり。
私には、思い出の中の女性(ひと)には勝てないと、一晩泣いて過ごしたことがある。
泣きはらした目を見せたくなくて、なるべく顔を合わせないようにしていたら、
「…薫殿」
突然腕を掴まれて、顔を見られた。思わず顔を背けた私に、
「何故…?」
と、あなたは苦しそうな顔で聞く。

――あなたが好きだからに決まっているじゃないの

どれだけ言おうと思ったか。すんでのところで、その言葉は飲み干されたけれど、いっそ吐き出せたらどれだけ楽だったか。

苦しくて、切なくて、好きでたまらなくて、もう、どうしようもないほど焦がれていて。
手が届きそうなのに、あなたはまるで逃げ水のように、私の元から離れてしまう。

それならば、言わなければいいのだと、誓ったはずなのに。思いを告げる言の葉は、夏の風に乗ってあなたへ届いてしまった。


「ただいま、と言ったのは初めてでござった」

そして肩を抱き寄せられた。二人の長い影が後ろから着いてくる。
今の言葉を信じても、ばちは当たらないだろうか。
剣心はゆっくり歩く。
私の歩調に合せるように。

「剣心…わたし…」
不意に歩みが止まってしまった。
少し怖くなってしまったのだ。あなたの心が本当なのか。例えば私をかわいそうと思うのならば、私はどれほど惨めだろう。

剣心は私と真正面から向き合った。
頬に、指が触れた。
何人もの人を殺め、救った武骨な指が、私に触れる。

「あなたを…これからも守りたい」

その眼差しは、真っ直ぐで、偽りのないもの。
あなたの体温が、私に近づいて来る。

やがて私の視界は、緋色の髪に覆われた。
熱を持った唇が離れ、それと同時に額を付け合う。

「…すまぬ」

その声は少し遠慮がちで、照れているようで。
私は首を横に振った。

「謝らないで…」

だって、謝られたら、あなたが消えてしまいそうで。
今の口づけが、偽りのものになってしまいそうで。
だから。

剣心の手が、私の手とつながる。少し遠慮がちなその手のぬくもりを、私は一生忘れない。


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