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ウタカタノユメ

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恋する季節

こんばんわ。

ふと思い立って、超短編を書きました。
10分程度で書きましたので、全く中身も濃くありません。ほとんどひらめき(笑)

恋をしているのは、薫ちゃん、あなただけじゃなさそうよ。



うららかな、春である。
陽の光は、とろけそうで、縁側に座っていれば、自然こっくりこっくりと船を漕ぐ。
今日は稽古も休みで…と言っても、門下生は出来の悪い生意気なガキだけど、と自分の中で毒づく。出げいこだってあるわけじゃない。

陽の光にあたりながら、春の風につつまれている心地よさ。

そして、聞える鳥の声。

風の音。

ざわめく葉。

いつもの年と違うのは、傍に優しい笑顔があること。
ああ、幸せだ。
柱にもたれて、そんなことを考えていた。

ぱん、と洗濯物を大きく振った。
よし、真っ白、と声がする。
あの声にももう慣れた。今では声がしないのがおかしいほどに。
けれど、二人の距離は縮まることもなく、いつも平行線をたどったまま。それがはがゆくて、狂おしい。


恋を…
しています。

切ない、恋です。

報われることなどないだろうと、わかっているけれど、どうかまだ、私の恋にとどめをささないで。
今は、この幸せに揺蕩っていたいのだから。

「剣心…けんしーん」

「なんでござるか?」

「なんでもないの。ちょっと声が聞きたかっただけ」

寝起きをいいことに、少し甘えてみた。
「昼寝もいいが、風邪ひくでござるよ?一枚羽織った方がいい」
そう言って背中を見せた居候の頬が、ほんのり赤くなったことに、恋する少女は気づくまい。


――無意識というのは、酷でざるな…


ひとりごちたこの言葉も、あっという間に風に流された。


恋を…しています。


泡沫のような恋です。


触ればきっと消えてしまう、はかなげな陽炎のような恋。


どうか、まだ消さないで。

夢をみさせてくださいと、願う少女の恋心。




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