忍者ブログ

ウタカタノユメ

緑の少年②

こんばんわ。
いろいろなサイト様で、実写版剣心の話題が盛り上がってますね。いいことじゃ。

前回は実写版の全体の感想を書きました。で、今度はピンポイントで。

いや~~、江口洋介の斉藤一はほんっとにかっこよかった~~!!
咥えタバコが似合いやがるぜ、アンチャン!(←お若い人は知るまいよ)
山縣有朋の前で、剣心と戦ったシーン、これもまたいいんだわ~~出来れば、京都編も映画化していただいて、宇水に牙突ぶっ放すシーンをお願いしたい!


さて、今日は「緑の少年」の第二話。映画の方では、たいした活躍はなかったけれど、コイツが「るろうに剣心」の中では次代を担う次の主役なんだと思います。
ということで、大切に育てたいキャラです。弥っちゃん、大好き~




弥彦が時々道場を出て行く、と気が付いたのは昨日のこと。別に外出は構わないのだが、また悪さをするのではないかと、そっちのほうが薫にとっては心配だ。なんだかんだ言っても、薫も天涯孤独。剣心同様、弥彦の気持ちは察しているつもりだ。直接聞いても、うるせえ、関係ねえだろう、と一言一言に突っかかっていく。

そんなある日のこと。二月を目前にした、芯から冷える寒い日だった。
薫から頼まれた買い物の帰り、ふと目をやったその先に、見慣れた小さな背中があった。弥彦だ。文句はいいつつも、薫から受け取った古びた竹刀を持っている。
「どこへ行くつもりだ…」
不審に思った剣心が、弥彦のあとをそっと着いて行く。街並みが途切れ、やがて田んぼが見えてきた。冬枯れの田んぼは、見るからに寂しい。
前方を見ると、そこには古びた寺がある。弥彦はその山門を迷わずくぐった。
「寺…?」
と口に出し、ハッと気づいた。そうか、ここは多分。そう、多分、弥彦の両親が眠る場所。
弥彦は途中一度振り返り、あたりの様子をうかがったが、再び奥へと入って行った。

一番奥の小さな墓。それが弥彦の両親の墓石。その前で、弥彦は静かに目を閉じていた。
肩が少し震えていたのは、自分の見間違えか。しばらくそこで何を話すでもなく、何をするでもない、ただ、ぼんやり空を見つめていたが、

「弥彦ではないか?」

と、少ししゃがれた声に、一瞬たじろいだ。
「お前、今までどこで何をしておった?」
現れたのは、袈裟で体をまとったこの寺の住職。口のきき方から、弥彦との関係がわかった。

「んだよ、じじい。まだ生きてたのかよ」

面倒くさそうに、頭をぽりぽりかきながらその場に立ち上がった。
「まったく、心配させおって。来るなら、本堂に寄って声くらいかけていけ。」
「知るかよ、そんなこと」
傍らで会話を聞いていた剣心が、ひそかに苦笑した。この場に薫がいたら、烈火のごとく怒るだろう。「お坊様に向かって、なんて失礼なの!?」げんこつの一発や二発は当たり前だ。つくづく、自分一人で良かったと思う。
「今、どこにいる?母親亡きあと、子供のお前がどこでどう暮らしておるのか、案じていたぞ?」
「大きなお世話だっつーの」
弥彦は仏頂面で背中をくるりと向けた。
「じゃな、じじい。生きてたらまた会おうぜ」
これ、弥彦、と背中に声をかけるも、弥彦は立ち止まることもなく逃げるようにその場を立ち去った。

和尚がため息をつき、「やれやれ」と苦い表情を浮かべた。

「あの、済まぬが…」

そう言って声をかけてきたのは、剣心である。
突然、知らぬ男に声をかけられ、和尚は驚きの表情を浮かべた。

「いや、怪しいものではござらぬ。」

剣心は丁寧に頭を下げた。


拍手[8回]

PR